サイバーエージェントグループでは、事前に広告配信効果をAIで予測し、効果が出たときのみクリエイティブ制作費を成功報酬とする「極予測AI」などの開発・運用に力を入れています。
今回はそんな「極予測AI*」のデータ蓄積と品質向上に貢献し、2022年度 広告カンパニー ベストグループ賞に輝いた、クリエイティブ構造化アノテーションチームを取材しました。
*極予測AIについて
https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=24647
2020年10月 極ライター入社 2022年03月 アノテーションセンター入社
2021年10月 アノテーションセンター配属
2022年10月 クリエイティブ構造化アノテーションチーム マネージャー昇格
2022年04月 クリエイティブ構造化アノテーションチーム リーダー担当
AI技術の精度を向上させる「アノテーション」
――ベストグループ賞の受賞、おめでとうございます!
そもそも何をするチームなのでしょうか?
砂川さん:ありがとうございます! チームでやったことが報われて嬉しいです。
まず僕たちのチーム名にある「アノテーション」というのは、「教師データ」と呼ばれる「AIに学習させるためのデータ」を作る仕事のことです。AIはデータに基づいて動くので、教師データの品質によって、AIの精度が大きく上下します。僕たちに求められるのは、依頼された定義に沿って、正確に早くデータを処理することですね。
僕たちのチームはサイバーエージェントのAI事業本部*と連携して、極予測AIの教師データを蓄積することに貢献しました。
*サイバーエージェント AI事業本部:サイバーエージェントグループにおいて、デジタルマーケティング分野のサービス開発を行う事業部です。
HP:https://cyberagent.ai/
わずか入社1カ月でリーダーに抜擢
――非常に先進的な取り組みですよね。
チームでの分担はどのようにされていたのでしょうか?
砂川さん:元々僕がリーダーとして始まったプロジェクトだったんですが、4月からは新たなチャレンジとして國場さんにリーダーを引き継ぎました。それ以降は僕が環境の整備と國場さんの育成サポートをして、現場では國場さんがリーダーとしてメンバーをまとめる、という体制でした。
國場さんは当時入社して1カ月でしたが、強い成長意欲と責任感を持っていました。その姿勢から、しっかりプロジェクトに並走して頑張ってくれそうだということで、リーダーを任せることになりました。
國場さん:最初の頃は未経験で何もわからなかったのですが、砂川さんに教えていただきながら、チームの目標設計や生産性向上、品質の改善に取り組みました。
――入社して1カ月でリーダーに抜擢されるのはすごいですね!
未経験からのスタートで、苦戦したことはありますか?
國場さん:苦戦したのは品質の部分です。膨大な数のデータがある中、なかなかオペレーションのミスを無くすことができず、品質が上がりませんでした。
そこでメンバーのミスを分類していきました。例えば、認識違いで起きたミスなのか、それとも単に作業工程で起きたミスなのか、などを一つ一つ考えていったんです。ミスの原因について深く掘り下げたことでミスを減らすことができ、品質の改善に繋がったと思います。
ミスの原因を考えることも大切ですが、そもそもミス自体をルールに沿って細やかに調べる必要があり、そこもリーダーとして頑張ったところです。
こだわったのは「チーム感」
――品質を上げるために、地道な努力をされたわけですね。
逆に上手くいったことはありますか?
國場さん:チームの雰囲気づくりにはこだわっていたので、そこは上手くできたのではないかと感じています。認識にずれがあると業務に影響が出てしまうので、コミュニケーションを円滑にできる「チーム感」を作ろうと思っていました。
プロジェクトが始動してから受賞までの期間は約半年ですが、最初の頃と比べるとコミュニケーションの量や雰囲気はかなり変化したと思います。
――「チーム感」を作るために、例えばどんな取り組みをされたのでしょうか?
國場さん:まず毎週定例ミーティングをして、皆で課題を出し合ったりヒアリングをしたりして、進捗状況をこまめに確認できる機会を作りました。ルールなどの認識を合わせるのもこのミーティングで行っていましたね。
最初は12名もいる大人数のミーティングに慣れないこともあってか、メンバーから自主的に発言する人は少なかったです。そこで私から一人ひとり面談を実施して「どうすれば意見を出しやすいか」や「負担に感じていること」などを聞き、改善に繋げました。
ミーティングを週一で実施することでだんだん慣れていったのと、面談以外にもこまめに私から声をかけにいったことで、自然と皆が話せる雰囲気にできたかな、と思います。
砂川さん:チーム全体では、キャンペーンも積極的にやりましたね。皆が参加したくなるように、当時皆がハマっていたアニメにちなんだ取り組みを設計しました。こういうことを皆で盛り上がりながらできたのも、普段からメンバーが何が好きなのかが分かるくらいにコミュニケーションが取れていたからだと思います。
アノテーション業務は道なき道。ルール作りからのスタート
――プロジェクト全体を振り返って、難しかったことはありますか?
砂川さん:前例のない業務だったので、ルールもやり方も自分たちで設計していかなければならなかったことです。WEBで検索をしても手法が出てこないほど、最先端の業務だったので。また細かい内容が多いので作業の自動化も難しい状態でした。
こうした中で無事に成果を出せて表彰までしていただけたのは僕たちだけの力ではなくて、他部署の方々との連携のおかげだと思っています。特に社内業務の自動化に取り組むDXチームや、社内ツールなどのインフラ整備を担う技術統括本部の方々には業務の効率化などで大変お世話になりました。またAI事業本部の方々にも並走していただくなど、期待をかけてもらいながらやれたことも良い作用を生んだと思います。
――様々な良い連携があったわけですね。
今後、目指していることを教えてください!
砂川さん:チーム全体として目指す姿としては、より速くて品質が良い状態にしていくことです。そのためにも引き続き國場さんにはリーダーとして皆を引っ張ってもらって、アノテーションチームでできることをどんどん増やしていってもらいたいです。良い雰囲気のチームを築けているので、皆でもっともっとレベルアップしていけたらいいなと思います。
國場さん:私個人としてはまだリーダーとして未熟な部分があるので、砂川さんのサポートがなくてもチーム全体を見れるようになるのが目標です。
チームとしては品質とスピードを更に上げつつ、できることの幅をもっと増やすことで、日本一のアノテーションチームを目指していきたいと思っています。